うわぁなんか変なのできちゃったよ・・・
第1話 予兆
彼が目を開けると急に眩しい光が目を刺す。そして急に激しい痛みが頭の中に響く。目が慣れると光は蛍光灯であることに気付いた。どうやらここは病院の手術室のようだが、なんだか壁紙はださい。なんでおれはこんなところに居るんだ・・・?確かいつもの夕方の日課の通り、愛犬ジョセフィーヌと一緒に散歩していたのに。
いろいろと考えあぐねていると、手術室(のような所)にどこかで見た顔がやってきた。
「やぁ、久しぶり。気付いたみたいだね。和彦」
「お、おまえは確か中学のときに同じクラスだった伸平か?・・・」
「そうだ。でも今は再開を懐かしんでるヒマはないんだ。は、早くこれを持って逃げるンだ。」
彼はこめかみを抑えながら、1つの鏡を渡した。
「きみは『生き埋め屋』にさらわれて、ここで改造手術を受けさせられたんだ。彼が来る前に君は早く逃げなければならないんだ。」
「なにを言ってるんだ伸平?改造?彼?それになんだこの鏡は??」
和彦が鏡を開こうとすると
「ダメだ!これは絶対にピンチのときにしか開けちゃいけない。いいから早くそこの扉からでるんだ!!」
ものすごい剣幕におされ、和彦はしぶしぶと指差された扉を開け、目の前に現れたエレベーターに乗った。気がつくとそこは最初にいた、海岸だった。違うのはジョセフィーヌがいないことだけ。すると突然、妙に甲高い声が響き渡った。
「うきょきょきょきょきょ、逃げようとしてもムダだ!」
そこにはこの世のものとは思えない不思議な格好をした人間らしきものが立っていた。
「も、もしかしておまえはジョセフィーヌか!?」
「違う、我が名は現実主義者リアリスティックだ!主の命により貴様を始末する!」
下品な笑い声を聞きつつ、和彦に伸平の言葉が脳裏によみがえる。『ピンチの時にしか開けちゃいけない』と手渡された鏡が・・・そして和彦は鏡を開き、そこに映る自分の姿を恐る恐るのぞいてみる。なんとそこにはこの世の者とは思えないほどのイケメンが映ってるのだ!かれが自分の姿に見とれると鏡から白い光が出て、彼を包む。
美白!
「ぬおわぁ〜!なんかもうダメかも〜!」リアリスティックが叫ぶ。
眩い光の中から現れたのは、なんかむちゃくちゃかっこいいナイスガイだった!「こいつ、美白戦士ナルシスになりやがった!!サディストール様どうしよう!?」 そう彼の名は美白戦死ナルシス。彼、東須貝和彦は555年と3ヶ月と3日間封印された怪物、メランコリーを蘇らせようとする秘密結社『生き埋め堂』に誘拐され、優秀な兵隊になるべく改造されたが、洗脳手術の前にそこの科学者になっていた中学時代の友人の伸平に逃がされたのだった。
もうどうでもよくなってきたリアリスティックが襲いかかる。彼は振り向きざまに右目から発する、流し目フラッシュにより怪人を軽く灰にした。
「おれの・・・おれの体はどうなっちまったんだ・・・」彼は自分の体と愛犬ジョセフィーヌがいなくなったことにひたすら呆然となるだけだった。
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